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狛犬の在り様を考えさせられる埋もれた傑作 [狛犬・寺社(福島県)]

福島県東白川郡棚倉町一色の、鐘鋳神社。
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正直言って、たどり着くまでの道が全く判りません。
一色という集落まではやって来たものの、神社は地図に記載がなく、
ネットでこの神社を掲載しているページにも道順までは解説がなく、
住民に尋ねようにも誰も外を歩いてはおらず。
ようやく第一村人発見となったものの、鐘鋳神社って?の質問に
「・・・知らない。」との答え。・・・・・・あ、あのぉ。

なんとか親切な第二村人を発見して道順を教えてもらい、
それでも「えっ!? ここ、ホントに入って行っていいの?」
という民家の庭先に突入していくかのような道をくぐり抜け、
田んぼの傍らの狭い砂利道を抜けた先にある森のなかに、、、
ありました、ありましたっ!
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本やネットで見たまんまの、鬱蒼とした世界が広がっていました。

とにかく苔むした狛犬に、なんともいえない気持ちになり。。。
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名工・小林和平の傑作。
昭和9年(1934)9月制作。
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情報によれば、この一色という場所は和平の妻・ナカの出身地。
そういう縁もあって制作依頼を受けたであろうと推測できるところ。
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で、とにかく作品の出来栄えも、もちろん素晴らしいのですが、
神社全体の空気も含めて他にはない独特の雰囲気。
弥生時代にタイムスリップしたかのような高床式の建物。
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これは一色を含めた近隣の集落に伝わる神事のためのもの。
(詳しくはこちらの由緒書きにて。)
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そして、狛犬。。。
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以前ネットで初めてこの狛犬を目にしたときは
像全体にペンペン草が生え、自然と一体になってしまったかのようで、
今回出会った様子では草は取り除かれていたものの苔むした様子はそのままで、
草のかわりにクモの巣があちらこちらに。。。
だいたい狛犬ってどの神社でもかまってもらっている様子があまりないのですが、
ここの狛犬はそういう意味でも特別な感じですね。
かまってもらえていない、という以前に、存在が消え去っているというか。
さながら古代文明の遺跡でも見ているかのような錯覚にも陥ります。

阿形は、すでに顔の一部が欠落してしまっていて。。。
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吽形に寄り添う子獅子の苔むした様子を見るとなんとも言えず悲しくなって。。。
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雰囲気抜群。
和平さんの作品=飛翔獅子は最高の出来栄え。
でも、これだけの優れた作品に対してですら、文化財的保全の動きのないのが、
この神社に限らない全国各地の狛犬の現状かと。

狛犬という存在の在り様を考えさせられてしまう、そんな特別な神社でした。
2012.08.13.kanei18.JPG
2012.08.13.kanei16.JPG
2012.08.13.kanei21.JPG
(撮影日:2012年8月13日)


より大きな地図で 狛犬を巡る火の見ヤグラーな日々 を表示
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