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清水寺の東大寺型狛犬 [狛犬・寺社(京都府)]

京都市東山区清水、音羽山清水寺。
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京都のみならず、日本を代表する寺院として世界遺産にも登録され、
拝観者=観光客が大勢訪れる、あまりにもメジャーな名刹。

寺についてあらためて解説するまでもないので、
詳しい縁起については同寺の公式HPをご参照いただくとして、
ここで取り上げるのはやはり・・・

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狛犬、というより中国獅子。
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仁王門前に鎮座するこの狛犬一対は、
東大寺南大門に据えられている獅子像のコピー。
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『ガイドブック清水寺』(横山正幸、1996)によれば、
「・・・もとは金銅製で、大阪市平野町の竹原友三郎氏が、
明治末年(一九一一)に寄進された高さ一・五メートル、
重さ一〇〇〇キログラム強の阿・吽の狛犬であったが、
太平洋戦争のため昭和十七年に供出させられた。・・・・・・
・・・こうした経緯で、現在の石の狛犬が、すぐ昭和十九年に
信者組織の清水寺普門会が向かって右(南)側を、
音羽婦人会が左(北)側を再建・寄進されたのである。
良慶和上の発案で、東大寺南大門裏側の開口両狛犬がモデルになっている・・・。」
とあります。
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この狛犬一対が建立される経緯として、ほぼ定説のような感じで
狛犬研究家や熱心なファンなどに採用されている話ではあるのですが、
それでもネットなどを検索すると微妙に内容のずれた説が
けっこうあちこちで取り上げられていたりするようなので、
細かな話ですが敢えて転載させていただきました。

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それにしてもこの狛犬たち。
一部では清水寺の七不思議などと取り上げられていることもあるようで。
つまり、日本の狛犬は口の開閉の違いがある阿吽のスタイルで
一対とするのが普通なのに、ここの狛犬は左右とも口が開いている。
これは大変珍しい、なぜだっ?
ということらしいのですが・・・。

この一対は東大寺南大門型のコピーである点、
その東大寺のものは宋人によって作られた純然たる中国獅子である点、
そして中国獅子は古今問わず一対二体とも口を開いたデザインが一般的である点、
それらを踏まえると、清水寺の彼らが二体揃って口を開けていたところで
なんら不思議ではないと、自分などは思うのですけどね。
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(上の2枚は東大寺南大門のオリジナル。)

むしろ中国獅子が左右ともに口を開いたデザインで、
日本で阿吽のスタイルが独自に発達した時代背景や技術の進化など、
そっちのほうがむしろ歴史のミステリーとして個人的には興味が引かれます。
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ただ、現地で観光客を引率するバスガイドさんなどは
この左右ともに口を開いた狛犬の“なぜ?”に対する回答として
「せっかくお参りに来たのだから、口を閉じて怒ったような顔でお参りするよりも、
大きく口を開けて笑ったような顔でお参りしたほうがご利益があるから・・・」
というような解説をすることがあるのだそうですが、
観光で訪れた大勢の人に楽しく見学してもらうには
こうしたユニークな説明も大いにありかなと。
実際、和上や信者さんは、そうした思いを込めて奉献したのかもしれませんし。

ちなみに上にリンクを張った清水寺の公式HPにある狛犬の紹介文に、
「・・・明治時代に寄進される折、東大寺南大門にある狛犬をモデルにして
造られたことによります。 また、お釈迦さまの教えを大声で世に知らしめて
いるともいわれています。」
とあります。

お釈迦様のくだりはともかく、前半の文章はいささか不正確のようですね。
明治期に寄進されたという先代の狛犬は、現在のものとは似ても似つかぬデザインで、
その話は、各地の狛犬について鋭い考察を展開しているliondogさんのHP
狛犬について私が知っている2,3の事柄」に詳しく論じられています。
他にも読み物として楽しい記事ばかりですので、
興味あるかたは一読をおすすめします。

あ、最後にひとつ。
この仁王門前の狛犬。
清水寺の入口にあるので寺のものかと思われがちですが、
正確には寺内にある地主神社所有になるらしいです。
地主神社については次のエントリーで紹介予定。。。

(撮影日:2013年4月6日)


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