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大都会の近未来型神社!? [狛犬・寺社(東京都)]

東京都千代田区九段北、築土神社。
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地下鉄九段下駅を出てすぐの場所という、
都心の一等地に鎮座する神社です。
が、非常に奥まった目立たない場所にあるうえに
すぐご近所さんが天下の靖国神社だったりするので、
地元の氏子さんや周辺で働く人たちを除けば、
まさに知る人ぞ知るといった存在ではないでしょうか。
もっとも寺社めぐりなどを普段からしている人々にとっては
けっこう有名かもしれません。
とくに狛犬については千代田区で最古と言われる子達が居るため、
その意味でも来訪する人間は案外居るのではとも思います。

しかし、ここがすごいのは狛犬の歴史だけではなく、
やはりその周辺環境と神社の様子そのものでしょう。

靖国通りから一本北側の街路が正面入口。
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上の写真でも分かりますが、モダンなデザインのビルです。
このビル自体が社殿というわけではないですが、
敷地の1階部分が吹き抜けた通路で参道となっていて、
建物の裏手側にRC造の社殿が造営されています。

境内の詳細は公式HPをご覧頂ければと思いますが、
このビル建築と境内全体の様子は平成7年に
千代田区都市景観賞を受賞したそうです。

参道入口に狛犬がいますが、こちらは最古のほうではもちろんなくて。
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岡崎古代型のこの子達は平成6年建立。
同年に新社殿起工記念に奉献されたものです。

参道の様子。
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一般的な神社の参道イメージとは程遠い、都市型神社の典型。
いや、都市型という括りから見てもノーマルではない印象です。

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参道にあてられているスペースの右側の通路はこのビルへの出入口。
普通にテナントビルになっているようで、取材中も人の出入が普通にありました。

そして参道の奥、社殿の手前に目的の狛犬発見。
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安永9(1780)年建立。
千代田区指定有形民俗文化財となっています。

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阿吽の配置は通常通りですが、
阿形に角、吽形に宝珠が乗せられ、獅子狛犬の配置としては
逆さに制作されている感じですね。
安永年間となるとまだ狛犬の制作も普及しているというほどでもないため、
そのデザイン面にブレが生じたのかもしれませんが、
そうした様子も狛犬デザインの自由度の高さといえるでしょうかね。
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尾の様子も後の時代に見られる流麗なものではなく、尾立ちタイプ。
犬歯のような牙もありますが、人間歯の並びもあったりと、
尾も含めてどこか浪速の匂いを感じなくもありません。

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江戸中期の割には表情もかっちり造られていて、かなり厳つい感じがします。

狛犬に関するかなり詳しい案内がありましたので、詳細はそちらをご覧ください。
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ここに限らずですが、狛犬の案内がある神社を訪れるとなんだか妙に嬉しくなります。
神社の中で空気になってしまっている狛犬たちは
その座っている正面に看板が立てられたりとか、
ぞんざいな扱いを受けることが少なくないのですが、
こちらは文化財指定も受けていますし、氏子さんや
地域社会に受け入れられ、大切に守られていることが伝わってきます。

狛犬の傍らに手水舎。
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そして社殿の様子はこちら。
まず拝殿。
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拝殿は妻入りで屋根の様子などから住吉造っぽいかなと思いましたが、
本殿はいかにも神明造といったデザインに見えます。
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で、公式HPによると住吉造と神明造の融合とのこと。
RCの社殿は他でも見かけたことがありますが、
ここのは古式のデザインを匠に取り入れて、
新感覚の社殿になっているといえるのではないでしょうか。
色使いも好感が持てます。

主祭神は天津彦火邇々杵尊。
相殿神として平将門公と菅原道真公という、
人神のツートップともいえる二柱が鎮座しております。
同社の由緒によると、もともと将門公を祀る神社だったようですが、
近代に入って明治政府(?)への遠慮から“便宜上”邇々杵尊を主祭神とし、
将門公を相殿としたということだそうです。
神社界にもいろいろありますね。

本殿の右から奥まった通路の先に社務所があり、
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そのひとつ手前の通路の先には境内社の稲荷社があります。
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こちらは木造の社殿なんですが、
この稲荷社を撮影している時にランドセルを背負った小学生(低学年)数人が
境内奥にあって日の当たらない薄暗い場所に立つこの稲荷社にトコトコとやってきて、
みんなで拍手たたいて頭を下げ、お参りしていったのです。

付近のマンションなどで暮らしている子供たちなのでしょうか。
その様子があまりに微笑ましかったので、撮影しようかとも一瞬考えたのですが、
さすがにこのご時世でそんなことをこの周辺環境下でしようものなら
どんな誤解が生じるか分かったものではなかったので止めておきました。
子供たちはちゃんと笑顔で挨拶してくれたりと、
まったく擦れたところもなく、感じのいい子供たちだったんですけどね。

で、こちらは拝殿の片隅にあった力石とその由緒書き。
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稲荷社のあったのと反対側も通路として整備されていて、
本殿の脇から裏手(靖国通り側)のキレイな都市型広場に出ることが出来ました。
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北の丸スクエアというビルの一角で緑化された遊歩道や広場。
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その広場側から仰ぎ見た神社の様子はこんな感じ。
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手前のタワー型駐車場ビルとミスマッチな風景。

緑化の行き届いた遊歩道側から見るとこんな様子。
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鎮守の森ならぬビルに守られて建っているといった様子ですね。

決して大きな神社ではないですが、
安曇野の田園風景のなかに大きな鎮守の森を持つ神社の様子を
当たり前に感じている身としてはある意味カルチャーショックで
今回の取材の中では最もインパクトの大きかった場所でした。

築土神社HP

(撮影日:2014年4月8日)


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