ダブルツインで社殿を守護するはじめ狛犬

下伊那郡平谷村宮ノ沢、諏訪神社。

三州街道の国道153号と国道418号の交差点一帯が村の中心エリアで、
そのすぐ北寄りに道の駅信州平谷が在り、上の画像は道の駅あたりの参道の様子。
神社はそのすぐ西裏手、柳川の橋を渡った先の山麓に鎮座しています。



参道、石段の上り口に一の鳥居と手水舎。



石段傍らに立つ栃の古木は樹齢250～300年近いとされ、村の天然記念物指定。


そして急坂の石段を登りきると、その両脇に岡崎現代型が一対。


昭和39（1964）年4月建立。
岡崎のなかではやや小ぶりですが
輸入品にはない味わいがあります。

拝殿と境内社。

ご祭神は建御名方神。

本命のダブルツインは拝殿前の石段上下になります。

それぞれ建立年は不明。
平谷村の公式HPのなかにある紹介文に拠れば、
『正保三年（１６４６年）建立、享保六年（１７２１年）本格的に神殿建設』
とありました。
少なくと正保3年以降の建立となるわけですが、
いづれにしもて根羽村のものに比べてそん色ない古さというか、
あるいはそれよりも古いのではと感じさせるものがあります。


下段の一対は腹部が彫り抜かれておらず、
それだけで十分素朴さを遺憾なく発揮していますw



表情は阿吽の状態もクリアには分からないほど風化していますが、
阿形は上下の歯をむき出しにして「いーっ！」ってしているような感じです。

普通に捉えれば吽形にありがちなデザインですが、
肝心の吽形が口を閉じているような印象にも見えるので、
これはこれで阿吽になっていると考えていいのでしょうかね。

なんとなく、土留めの石積みも兼ねてしまっているような印象が。

そして上段の一対。

こちらは腹部も前脚の間もきちんと彫り抜かれ、
表情も下段に比べれば目鼻立ちも分かるほどの状態なので、
きっとこちらのほうが新しい年代の制作なのでしょうね。


阿吽も左右正しい配置でハッキリと確認できます。


ユニークなのは台座に対して斜に構えて彫られていること。

背後から見ると分かりやすいですが、ちゃんと参道の側に上体を振って
顔も微妙に内側にかしげて、ちゃんと参拝者に目配せしているような感じです。

作者の石工のさりげないこだわりでしょうか、
単純に素朴なだけではない、狛犬の進化の断片を垣間見た気分です。

長野県でもっとも人口の少ない村の、小さな神社ですが、
狛犬は小さいながらも存在感あるいい子達が居ました。


（撮影日：2014年5月4日）


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