SSブログ

善光寺三鎮守、湯福神社 [狛犬・寺社(長野市)]

このところ火の見やぐらの更新ばかりだったので、久しぶりに狛犬をば。

長野市箱清水、湯福神社。
20150504yufuku1.JPG
20150504yufuku2.JPG
善光寺の西に鎮座する同社は善光寺の守護神である善光寺七社の一社。
さらに善光寺三鎮守とも呼ばれており、創建年は定かではないですが、
持統天皇5年(691)に風鎮祭の神として、奈良の龍田大神、諏訪大神、
地元の水内大神の三社を勅祭したと記録があるそうです。

ご祭神は健御名方命の荒御魂(あらみたま)。

善光寺表参道の西側一体の15町を氏子としていて、
境内由緒書き看板の裏側にその町名が記されています。
20150504yufuku3.JPG20150504yufuku4.JPG

一の鳥居と二の鳥居。
20150504yufuku41.JPG
20150504yufuku12.JPG

両鳥居の合間には小川が流れていて、なかなかにいい雰囲気です。
20150504yufuku16.JPG

同社は境内に立つ天然記念物のケヤキが有名らしく、
なるほど立派なケヤキの古木が立ち並んでいました。
20150504yufuku13.JPG20150504yufuku14.JPG
20150504yufuku15.JPG

拝殿はそのケヤキの大木の間を抜けた先。
20150504yufuku5.JPG
鈴ではなく鰐口が吊られているのは、やはり善光寺に縁あるところからでしょうか。
御神紋は諏訪大社同様に梶の葉です。

本殿は彫り物が立派で、本殿向かって右側の水神様と
並んでいる建物に神輿が祀られています。
20150504yufuku6.JPG20150504yufuku40.JPG
20150504yufuku7.JPG
20150504yufuku9.JPG20150504yufuku10.JPG

本殿向かって左側には社務所。
20150504yufuku8.JPG

そして拝殿手前には善光廟が。
20150504yufuku11.JPG
これは善光寺の開祖といわれる本田善光の廟で、
なかには善光の墓とされる大石が祀られていました。

さて、狛犬ですが。
20150504yufuku18.JPG20150504yufuku19.JPG
境内正面入り口の両脇、一の鳥居の手前に鎮座。

大正11年(1922)10月建立。
20150504yufuku20.JPG20150504yufuku21.JPG

台座には長野市元善町という地名とともに寄付人の名前が。
20150504yufuku35.JPG20150504yufuku36.JPG
同じ阿吽ともに武井姓。親子かなにかでしょうかね。

尾が足座に流れる様子など全体の雰囲気は江戸型狛犬の特徴を持っていますが、
表情は穏やかというか、笑みを浮かべているような感じにも見えます。
20150504yufuku24.JPG20150504yufuku25.JPG
20150504yufuku28.JPG20150504yufuku29.JPG
20150504yufuku22.JPG20150504yufuku23.JPG

阿吽ともに折れ耳ですが、阿形の片耳が欠損しているようで残念。
20150504yufuku26.JPG20150504yufuku27.JPG
また阿形の足元には子獅子がいるのですが、
こちらはなんと頭がごっそり欠けてしまっています。
20150504yufuku33.JPG20150504yufuku34.JPG
じつはこの状態は同社を取材する前から知っていたのですが、
事前に得た情報ではこの欠けた頭部の変わりに
手書きで顔を描いた小石を据えていた画像を見かけました。
今回の訪問でそのユニークな子獅子と会えることを楽しみにしていたのですが、
その小石の顔もまた欠損してしまったのでしょうか。残念です。
ちなみにその小石の顔は神社の向かいにあるクリーニング屋の店長が
書いたものだったそうです。

吽形の足元は玉。イメージは鞠ですね。
20150504yufuku32.JPG

長野市内の狛犬は岡崎現代型の所在率が非常に高い印象があります。
安曇野を含む松本地方でも、もちろん岡崎型をよく見かけるのですが、
それでも松本エリアではオリジナルデザインの子もけっこういて、
年代的にも江戸期制作という狛犬も少数ながら存在します。
そういう意味では松本より以上に善光寺平においては
狛犬文化の流入が遅かったといえるかもしれませんし、
逆に言えばこの湯福神社の子達はけっこう貴重な存在となりますね。

まあとにかくここは善光寺のお膝元。
ご開帳で賑わう有名寺の守護を務めるというだけでも、
同社の貴重さはじゅうぶんなものといえるわけですが。
20150504yufuku39.JPG
20150504yufuku37.JPG20150504yufuku38.JPG

(取材日:2015年5月4日)



コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

コメント 4

彫刻石工せいしろーう

初めはして、いつも長野の狛犬楽しく拝見しています。

江戸狛犬が長野にある事に驚きました。

しかもオリジナルの江戸狛犬のようで素晴らしい!!

獅子山が有る事も江戸狛犬が有る事も驚きです。

作者は実際に見てきた人でその形を彫ってみたかったのでしょう。

私も同じ石工としてその気持ちは充分わかります。

長野はまだ知らない狛犬がありそうですね。

新発見の狛犬楽しみにしています。



by 彫刻石工せいしろーう (2015-06-19 10:16) 

のぶさん

>せいしろーう さん
コメントありがとうございます。
せいしろーうさんのご高名は(インターネット世界だけですが)よく存じ上げております。
以前から拙ブログをご覧頂いているようで、たいへん恐縮です。

私も日頃から密かにせいしろーうさんのブログを拝見しております。
どの記事もなるほどと思える内容で楽しませてもらっていますが、
私の地元安曇野の獅子山の考察など、さすが本職さんの考察だなと、
とても勉強になりました。

せいしろーうさんのブログのリンクを張らせて頂きたいと思います。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
by のぶさん (2015-06-19 12:29) 

彫刻石工せいしろーう

この狛犬の石は笏谷石の様に見えるのですがそれとも地元で採れる石でしょうか?

獅子山の石は長野で採れる石だと聞いて驚きました。

長野はいろいろな石種があって興味があります。

今はもう採れない石が多いと思いますが同じ石を彫ってみたいものです。
by 彫刻石工せいしろーう (2015-06-19 21:13) 

のぶさん

>せいしろーう さん
私は石の種類についてはまったく詳しくないのですが、
言われてみればたしかに笏谷石っぽい雰囲気もありますね。
長野県では同じ凝灰岩の佐久石を使用することが多いと聞いたことがありますが、
もしかするとそれかもしれないですね。
一見して見分けがつくくらいに、もっと石材について勉強してみます(^^)

伍社宮の獅子山の石材=諏訪神宮寺石は希少性の高い石のようで、
すでに採掘されていないようですね。

機会があれば、せいしろーうさんの彫られた狛犬たちを拝見したいです。
by のぶさん (2015-06-20 00:19) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。