若一王子神社の神殿狛犬 [狛犬・寺社(大町市)]
大町市、若一王子神社。
神仏習合の名残を色濃く残す同社は
以前にも一度このブログで取り上げたことがあります。
岡崎現代型の初期モデル的な参道狛犬のほか、
ここには本殿の縁側に鎮座する木造の神殿狛犬が一対います。
拝殿の脇へ回り込めば本殿そのものはなんとか拝観できるのですが、
狛犬さんは縁側の欄干が邪魔して下半分がほとんど見えない状態。
上の2枚は一昨年に板塀の外側から撮影したもの。
横顔を見る限りではいい造りをしているように見受けられるので、
なんとか全体像を拝むことが出来ないものかとずっと思っていました。
そして・・・・・・じつはこのたび、本殿に上がらせて頂いて、
狛犬さんと間近に対面することが、なんと叶ってしまいまして。
若一王子の宮司さんには地鎮祭などでいつも大変お世話になっており、
以前から「狛犬が見たいんですぅ♪」とラブコールをしていたのですがwww、
つい先日にお会いした際に再アタックしたところ、
「じゃあ、今度おいでよ」と、わがままを受け入れて頂けることになった次第。
もうっ、瞳キラキラ状態で、ソッコーでやって来ましたよO(≧∇≦)O(☆。☆)d(゚∀゚)b
社務所から観音堂経由で拝殿へ。
(観音堂も取材しましたが、それはまたのちほど。)
観音堂の裏手から本殿方面を望むとこんな感じ。
ここからでは狛犬さんの全貌どころか表情もよく分かりません。
拝殿内。
拝殿から幣殿へと繋がる渡り廊下の扉は、
伊勢神宮の第60回式年遷宮(昭和48年)の折に贈与を受けたもの。
拝殿そのものがその機に新築され、旧拝殿が現在の幣殿となっています。
そしてその扉の上部には龍の彫り物。
幣殿と拝殿を繋げる際に幣殿=旧拝殿に付していた龍が
屋根の都合もあって現在の位置に移設されたもの。
いま見ると顔が真正面で真下を見下ろす格好でついていますが、
本来はもっと右のほうへ全体的に角度をつけて据えられ、
顔は斜めになって眼下の人々を睨む構図が正しいのだそうです。
ここに移設する際、あれやこれやでこのようになってしまったらしいのですが、
その辺の経緯は、まあ割愛しておきます。。。
幣殿。
本殿へとつながる扉は開放されていましたが、
御簾が下げられているので正面からはまだ本殿は拝みにくい状態です。
その扉の彫刻。
素朴ですが両面彫りの優れた作品。
下の画像。ちょっとわかりづらいですが、鶴の背後に竹の彫りが3本見えます。
本当は4本あったところをどこかの悪者が本殿に忍び込もうとして
1本破壊してしまったのだそうです。
神をも恐れぬ不届き者ですな(‐_‐♯
さあ、いよいよ本殿。
そして、改めまして、、、若一王子神社の神殿狛犬さんです.。゚+.(・∀・)゚+.゚
建立年は不明ですが、国重文にも指定されている本殿が
江戸初期の承応3年(1656)に大改修を受けているため、
そのタイミングで新たに制作されたか、あるいはそれ以前からあったものなのか、
案内して頂いた宮司さんの話によると、はっきりとしていないのだそうです。
横置き型なのですが、首を90度かそれ以上に横に振っています。
縁側の欄干、とくに親柱のボリュームが比較的大きいせいか、
あえて目線を親柱から逸らした方向に向けているのかもしれず、
また親柱よりも前に持ち出すと、本殿の扉を開閉する際に
邪魔になりかねないということで、現在の位置で今の格好になったのかも。
そう考えると、制作して据え置かれた最初の頃から
現在のポジションだったのかなという想像が膨らみます。
いづれにしても、可愛い子たちです。
これまで塀の外側から横顔だけしか拝めませんでしたが、
想像していた通り、正面から見ると愛嬌のある優しい表情をしていました。
左右できちんと阿吽になっています。
素朴ですが、彫りは深くてしっかりと丁寧になされています。
類型としては阿吽ともに角もなく、髪型やひげの様子などは
江戸狛犬の特徴をよく捉えているのですが、
一方で渦巻状の鬣などの様子は浪速(畿内)型の典型例ですし、
東西狛犬の折衷案で制作が進められたのかもと、
勝手な想像も膨らんだりしています。
全体の彩色はなくて木地のままですが、目玉と口だけは塗られていますね。
関西でよく見かける神殿狛犬は明るい彩色のものが多いのですが、
こういう素朴なもののほうが落ち着いていて好みです。
背面や頭頂部などを見ると、虫食いを含めて
けっこう痛みの出ている部分も見受けられますが、
ひどく腐朽しているというふうではなさそうなのでひと安心。
神殿狛犬をこういう角度から拝観できる機会など滅多にないので貴重です。
子獅子で愛嬌のある子はいましたし、
面白おかしいという類の親獅子もけっこう見てきましたが、
子獅子ではない狛犬の、しかも神殿に居る子達で
ここまで愛くるしい表情の子との出会いは自分は初めて。
重文の神殿に足を踏み入れられたことも貴重な体験でしたし、
この子達と間近で対面できる機会を設けていただいた宮司さんに
あらためて謝意を送りたいと思います。
若一王子神社公式HP
(撮影日:2013年5月14日)
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神仏習合の名残を色濃く残す同社は
以前にも一度このブログで取り上げたことがあります。
岡崎現代型の初期モデル的な参道狛犬のほか、
ここには本殿の縁側に鎮座する木造の神殿狛犬が一対います。
拝殿の脇へ回り込めば本殿そのものはなんとか拝観できるのですが、
狛犬さんは縁側の欄干が邪魔して下半分がほとんど見えない状態。
上の2枚は一昨年に板塀の外側から撮影したもの。
横顔を見る限りではいい造りをしているように見受けられるので、
なんとか全体像を拝むことが出来ないものかとずっと思っていました。
そして・・・・・・じつはこのたび、本殿に上がらせて頂いて、
狛犬さんと間近に対面することが、なんと叶ってしまいまして。
若一王子の宮司さんには地鎮祭などでいつも大変お世話になっており、
以前から「狛犬が見たいんですぅ♪」とラブコールをしていたのですがwww、
つい先日にお会いした際に再アタックしたところ、
「じゃあ、今度おいでよ」と、わがままを受け入れて頂けることになった次第。
もうっ、瞳キラキラ状態で、ソッコーでやって来ましたよO(≧∇≦)O(☆。☆)d(゚∀゚)b
社務所から観音堂経由で拝殿へ。
(観音堂も取材しましたが、それはまたのちほど。)
観音堂の裏手から本殿方面を望むとこんな感じ。
ここからでは狛犬さんの全貌どころか表情もよく分かりません。
拝殿内。
拝殿から幣殿へと繋がる渡り廊下の扉は、
伊勢神宮の第60回式年遷宮(昭和48年)の折に贈与を受けたもの。
拝殿そのものがその機に新築され、旧拝殿が現在の幣殿となっています。
そしてその扉の上部には龍の彫り物。
幣殿と拝殿を繋げる際に幣殿=旧拝殿に付していた龍が
屋根の都合もあって現在の位置に移設されたもの。
いま見ると顔が真正面で真下を見下ろす格好でついていますが、
本来はもっと右のほうへ全体的に角度をつけて据えられ、
顔は斜めになって眼下の人々を睨む構図が正しいのだそうです。
ここに移設する際、あれやこれやでこのようになってしまったらしいのですが、
その辺の経緯は、まあ割愛しておきます。。。
幣殿。
本殿へとつながる扉は開放されていましたが、
御簾が下げられているので正面からはまだ本殿は拝みにくい状態です。
その扉の彫刻。
素朴ですが両面彫りの優れた作品。
下の画像。ちょっとわかりづらいですが、鶴の背後に竹の彫りが3本見えます。
本当は4本あったところをどこかの悪者が本殿に忍び込もうとして
1本破壊してしまったのだそうです。
神をも恐れぬ不届き者ですな(‐_‐♯
さあ、いよいよ本殿。
そして、改めまして、、、若一王子神社の神殿狛犬さんです.。゚+.(・∀・)゚+.゚
建立年は不明ですが、国重文にも指定されている本殿が
江戸初期の承応3年(1656)に大改修を受けているため、
そのタイミングで新たに制作されたか、あるいはそれ以前からあったものなのか、
案内して頂いた宮司さんの話によると、はっきりとしていないのだそうです。
横置き型なのですが、首を90度かそれ以上に横に振っています。
縁側の欄干、とくに親柱のボリュームが比較的大きいせいか、
あえて目線を親柱から逸らした方向に向けているのかもしれず、
また親柱よりも前に持ち出すと、本殿の扉を開閉する際に
邪魔になりかねないということで、現在の位置で今の格好になったのかも。
そう考えると、制作して据え置かれた最初の頃から
現在のポジションだったのかなという想像が膨らみます。
いづれにしても、可愛い子たちです。
これまで塀の外側から横顔だけしか拝めませんでしたが、
想像していた通り、正面から見ると愛嬌のある優しい表情をしていました。
左右できちんと阿吽になっています。
素朴ですが、彫りは深くてしっかりと丁寧になされています。
類型としては阿吽ともに角もなく、髪型やひげの様子などは
江戸狛犬の特徴をよく捉えているのですが、
一方で渦巻状の鬣などの様子は浪速(畿内)型の典型例ですし、
東西狛犬の折衷案で制作が進められたのかもと、
勝手な想像も膨らんだりしています。
全体の彩色はなくて木地のままですが、目玉と口だけは塗られていますね。
関西でよく見かける神殿狛犬は明るい彩色のものが多いのですが、
こういう素朴なもののほうが落ち着いていて好みです。
背面や頭頂部などを見ると、虫食いを含めて
けっこう痛みの出ている部分も見受けられますが、
ひどく腐朽しているというふうではなさそうなのでひと安心。
神殿狛犬をこういう角度から拝観できる機会など滅多にないので貴重です。
子獅子で愛嬌のある子はいましたし、
面白おかしいという類の親獅子もけっこう見てきましたが、
子獅子ではない狛犬の、しかも神殿に居る子達で
ここまで愛くるしい表情の子との出会いは自分は初めて。
重文の神殿に足を踏み入れられたことも貴重な体験でしたし、
この子達と間近で対面できる機会を設けていただいた宮司さんに
あらためて謝意を送りたいと思います。
若一王子神社公式HP
(撮影日:2013年5月14日)
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