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村社から官幣大社へ昇格した神社 [狛犬・寺社(和歌山県)]

和歌山市和田、竈山神社。
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前エントリーの日前宮より南へ約3キロほど下った場所にあり、
由緒は神武東征の説にまで遡ります。

『御祭神の彦五瀬命は、第一代神武天皇の皇兄に坐し、大和平定の途中、
孔舎衙坂で長髄彦の軍と戦い、流れ矢に当たり給いて戦傷、
雄水門に至りて遂に崩御遊ばされ、竈山の地に葬られ給う。
今の社地は即ちその遺跡で、延喜式の神名帳に「紀伊国名草郡、竈山神社」と記され、
古くから官幣に与る皇室御崇敬の大社であり、天正年間まで社領8町8段を有したと伝えられている。
往古は社殿も宏大にして現地か東南山麓に鎮座し給うたが、戦乱の世を経て社頭衰微し、
徳川氏の入国後、社殿を再興した。
明治18年、官幣中社に列せられ、大正4年、官幣大社に昇格、
昭和13年には国費及び崇敬者の献資を以って社殿を造営し、境内を拡張して現在に至っている。
寛政6(1794)年冬、国学者 本居宣長はこの社に詣でて
「をたけびの かみよのみこゑ おもほへて あらしはげしき かまやまのまつ」と詠んだが、
竈山の岩根に鎮ります神霊は、日本の国の行手を永久に譲り給い、導き給うことと拝し奉る。』
(和歌山神社庁HPより)

由緒のように中世後期には日前宮同様、戦乱の中で荒廃し、
江戸期になって紀州徳川家などの手により再興を果たした経緯を持ちます。
近代社格制度において、明治14年に一度は村社の格を与えられますが、
神武天皇の長兄を祀る神社という由緒を持って、最終的には官幣大社にまで
昇格を果たしたという、全国的に見ても稀有な存在となっています。

日前宮方面から車で走ってくると、
神社少し北寄り手前、和田川を渡ったところに一の鳥居。
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そして参道入口に二の鳥居。
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静かな田舎の神社で、ゆったりした境内は、
しかしながら整然と整備されています。

鳥居の足元には護国系の籠神社型狛犬が一対。
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このタイプはいつどこで見ても、見事にコピーされているのが分かりますね。
地方は違えど、同一人物が作ったのではと思えなくもない仕上がり。
実際、本当に同じ作者かもしれませんね。
記銘がなかったのでなんともいえませんが。
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狛犬の足元になにか小さな表札のようなものが。
よく見てみると、、、
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確かに各地の神社を巡っていると、狛犬の足元とか口の中に
お賽銭の置かれているシーンをよく見かけますね。
狛犬自体はあくまで守護獣であって拝む対象ではないのですが、
霊験あらたかな、という意味合いでもこめられているのでしょうか。
まあ、心無い人に持っていかれたりする可能性は無きにしも非ずですね。

御神門をくぐると立派な拝殿が目の前に。
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その背後、少し拝観しづらいですが、幣殿が一段高い場所に。
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さらにその背後、さらに拝観しづらいですが、本殿がより一段高い場所に。
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塀の外に出たところに境内社の青葉神社。
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華美な様子はないですが、古社に相応しい凛とした空気を感じられる境内でした。
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なお、前エントリーの日前宮と、この竈山神社、そして次のエントリー予定の伊太祁曽神社。
この三社は和歌山における初詣の「三社参り」の神社となっており、
和歌山電鉄貴志川線はこの三社参りの沿線沿いに走っています。
貴志川線といえば終着の喜志駅の“たまスーパー駅長”が有名ですね。
お参りついでに彼女にも会いに行ってきたのですが、
なにぶん高齢のため、面会中はずっとお昼寝していらっしゃいましたとさ(^^)

(撮影日:2013年12月31日)


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ひとつの境内ふたつの神宮 [狛犬・寺社(和歌山県)]

和歌山市秋月の日前宮。
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厳密にはひとつの境内にふたつの神宮、
日前神宮(ひのくまじんぐう)・國懸神宮(くにかかすじんぐう)の二社があり、
総称としての日前宮(にちぜんぐう)が地元で普通に呼ばれている名前となっています。

日前神宮
ご祭神:日前大神(ひのくまのおおかみ)
相殿:思兼命(おもいかねのみこと)
石凝姥命(いしこりどめのみこと)
ご神体:日像鏡(ひがたのかがみ)

國懸神宮
ご祭神:國懸大神(くにかかすのおおかみ)
相殿:玉祖命(たまおやのみこと)
明立天御影命(あけたつあめのみかげのみこと)
鈿女命(うづめのみこと)
ご神体:日矛鏡(ひぼこのかがみ)

同神宮の由緒によれば、、、
天照大神が岩戸に隠れた際、神々のはかりごとの結果、
石凝姥命(いしこりどめのみこと)によって天香山(あめのかぐやま)から採取した銅を用いて
天照大御神の御鏡(みかがみ)を鋳造することになりました。
その際、最初に鋳造されたものは神々の御意に適うものではなく、
新たに鋳造され直した御鏡は美麗この上ないものとして出来上がり、
これをもって天照大神を岩戸の外へと導き出すことができたのでした。

この最初に作られた際の鏡が日像鏡と日矛鏡で、
日前宮の御神体として祀られていると伝えられるもの。
次に作られた美麗なる御鏡こそが、伊勢神宮の御神体として奉祀され、
三種の神器として現在に伝わる八咫鏡です。

天孫降臨の際、八咫鏡を含む三種の神器とともに日像鏡と日矛鏡も副えられ、
神武天皇東征の後、紀伊国造家の祖に当たる天道根命(あめのみちねのみこと)を
紀伊國造(きいのくにのみやつこ)に任命し、二つの神鏡を以て紀伊國名草郡毛見郷の地に
奉祀せられたのが同神宮の起源であるとされているようです。
(参照:日前宮HPほか)

参道からしばらくまっすぐ歩くと突き当たりになり、
それぞれ左右の道に折れると両神宮の本殿へと向かいます。
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参道より向かって左手が日前神宮。
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向かって右手が國懸神宮。
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その参道の両脇に幾つかの摂社。

摂社・天道根神社。
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摂社・中言神社。
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末社・深草神社。
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末社・邦安神社。
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末社・市戎神社。
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末社・松尾神社。
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大和の国から見て、東の伊勢神宮、西の日前宮などとして、
御神体の御鏡の話などから伊勢と同格などと見る向きもあるようですが、
その神域はじめ隆盛というか、神宮としての威光などは比ぶべくもありません。
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境内は一般の神社に比べればたしかに広大ではありますが、
参道の一角には判別しがたい摂社末社の社が放置されたような状態で取り残され、
案内の看板らしきものも杭が引き抜かれて傍らの古木に寄りかかっているような有様。
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日前宮は神社本庁には属さず、単立神社として存在しています。
天道根命の子孫とされる紀氏によって祭祀され隆盛を誇ったようですが、
中世末期~近世近代にかけては豊臣秀吉による社領没収や
紀州徳川家による復興、明治~大正にかけての国費投入による境内再建など、
浮き沈みはかなりあったようです。
紀伊国一ノ宮であり、神武天皇東征に遡る由緒の伝わる古社でありながら
現代に残る姿はいささか侘しさをも感じられてなりません。

あっ、狛犬は居ませんでした。

日前宮HP

(撮影日:2013年12月31日)


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