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石工・北原柳太郎の狛犬@諏訪松尾神社 [狛犬・寺社(安曇野市)]

長野県安曇野市豊科南穂高、寺所の諏訪松尾神社。
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前エントリーの踏入八幡宮と村境を挟んで相対する、寺所地区の産土神。
長野道安曇野インターより車で数分のある意味便利な場所にあり、
踏入八幡宮より分かりやすい場所に鎮座しています。
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幹線道路から続く参道の脇に、禁札舎と並んで手水舎。
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手洗石はお相撲さんに支えられています。
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半分、カラダが埋まっていますねw

対になっていない一基単独の灯篭の脇を抜けると、台輪鳥居。
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そしてその鳥居を抜けた場所に一対の狛犬が出迎えてくれます。
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明治41(1908)年建立。
石工:諏訪神宮寺 北原柳太郎 刻。
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そう、制作はあの安曇野唯一(たぶん、長野県内唯一)の獅子山となる
及木地区の伍社宮の獅子山作者である、
諏訪神宮寺の石工、北原柳太郎です。
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柳太郎の子孫になる方が現在も諏訪で石材店を営んでいらっしゃるのですが、
5代目になる現社長と伍社宮の獅子山の件で以前にお話を伺う機会があり、
その際に頂戴した資料に所在不明の柳太郎作の狛犬があることを知りました。
で、その話を自分もすっかり忘れていたのですが、まだ取材に入っていなかった
寺所の同社を時間が出来たので訪問したところ、まさかここでその所在不明だった
柳太郎さんの狛犬に巡り会うことになろうとは想像もしてなくて。

いやはや目にしたときはビックリでした。
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伍社宮とは違ってこちらは普通に台座にいる蹲踞型ですが、
使用されている石材は伍社宮同様に神宮寺石。
そして本体のデザインにもそこはかとなく北原柳太郎の特徴を見出すことが出来ます。

頭上、吽形が宝珠で阿形が角という組み合わせも柳太郎作品の特徴。
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あと胴体の炎立つような模様も柳太郎の狛犬の特徴で、
他の作品でもよく見かける部分です。
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そして台座ですが、一面に奉献の文字が刻まれています。
傍らに揮毫した人名。
「為明治三十七八年戦捷紀念 正三位大勲位功一級 伯爵東郷平八郎書」
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明治日本海軍の大元帥の揮毫ですが、
日露戦争直後とあれば日本でもっとも有名な人物のひとりだったでしょう。
きっとあちこちから揮毫の依頼を受けたりしたのではないでしょうか。

その揮毫ですが、以前にエントリーした同市内及木地区にある伍社宮。
こちらの立派な獅子山も北原柳太郎の作品であり、
そしてのその山の銘板に刻まれた奉献の文字も東郷平八郎の揮毫です。
goshagu1.JPG(←伍社宮の獅子山にある銘板)

よく見比べると文字が瓜二つ。
同じオリジナルの書から採ったものと容易に想像が付くのですが、
伍社宮とこの諏訪松尾神社の神社同士の繋がりを考えるより、
同一作者である北原柳太郎氏が東郷平八郎の揮毫を入手していたと
考えるのが妥当ではないかと思います。
制作年も両社の狛犬とも明治41年と同じですしね。

実際のところはどうなのか、まだ詳細に調査したわけではないので、
今後伍社宮の獅子山の所縁とセットで検証して行きたいと思います。
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で、この狛犬の台座にはさらに「常盤橋共一式」という文字も刻まれています。

こちらがその常盤橋。
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拝殿前の水路にかかる橋ですが、
おそらくこれも北原柳太郎作ということであり、同年に奉献されたものなのでしょう。

欄干に袖がついていて装飾が施されています。

橋のかかっている水路は、取材時には水がありませんでしたが、
拝殿を守るように堀として設けられているようで、
氏子総代に話を伺ったところ、祭典の折には通水するのだそうです。

社務所。
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拝殿。
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拝殿脇の摂社(天満宮、八王子社、若宮社)。
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本殿は覆い屋のなか。
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前エントリーでも同じことを記しましたが、
同社は村境(現在の寺所地区と隣の踏入地区の境)にあり、
社殿の裏手からは畦道のすぐ向こう側に隣村の踏入八幡宮が鎮座しています。
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境内はとくべつ広いわけではないですが、
幹線道路から少し入り込んだ場所にあるためとても静かで、
また道祖神をはじめとする石造物や石碑などもしっかり整備されており、
氏子さんたちの気持ちがよく伝わってきました。
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そして自分にとって3対目の北原柳太郎作品を拝むことが出来たのが、
何より嬉しく思えた神社でした。
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(撮影日:2014年6月14日)


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