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天野の里の木造火の見やぐら【再掲】 [火の見櫓(和歌山県)]

和歌山県伊都郡かつらぎ町上天野。
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先の記事で再掲した丹生都比売神社と同様に、
こちらも数年前にエントリーした木造火の見やぐらの再掲です。
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過去記事「世界遺産を見守る木造の火の見やぐら

やぐらというより、いわゆる”火の見はしご”の類。
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上述の前記事では村の中継点か、のような内容で記しましたが、
集落外れに位置する丹生都比売神社の境内進入路脇に立っており、
もしかすると神社に有事が発生した際に
集落へ事態を知らせるために用意がされたものなのかもしれません。

もっとも、木槌がはしご周辺には見られないことから、
現在では退役してしまっているのかもしれませんが。
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進入路脇で、水路を挟んで駐車場もありますが、
木造ということで仮に劣化して倒壊の可能性があったとしても
さしあたり害をなすほどの状況ではないと思われ、
故に撤去されることもなく、そのままとなっているのかもしれず。

山里の味わいある、いまは希少価値の高い火の見はしご。
いつまでも長生きしてほしいです。
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【撮影日:令和2年(2020)8月12日】

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何度目の参拝か・・・ [狛犬・寺社(和歌山県)]

和歌山県伊都郡かつらぎ町、丹生都比売神社。
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生まれ故郷から車で少し走った高地、天野の里に鎮座する古社へは
幼いころから親に連れられ、よく参拝していました。
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「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界文化遺産の構成資産となっており、
自分自身が遠く信州で暮らすようになってからも
和歌山へ戻るたびに、時間の許す限り参詣することにしています。
2020年夏。コロナ禍のなかで人の集まる場所は避ける旅のなか、
今回も静かに参拝をさせていただきました。

当ブログで採り上げるのは二度目ですかね。
(前回:「世界遺産の神社にいる狛犬」)

静かな里山の懐に抱かれた境内。
鎮守の森の緑とのコントラストが眩しいほどに
美しい朱塗りの社殿。
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平成5年(1993)に奉献されたブロンズの獅子・狛犬は相変わらずの様子。
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この子は重要文化財に指定されている計4対いる木造狛犬のうちの一対のレプリカで、
その木造の子たちは同社所蔵のほか京都国立博物館でも保存されているとのこと。
ブロンズとしても二代目で、初代は戦時の金属供出でやむなく。。。
なお重文となった獅子・狛犬の四対は、同社HPにて画像で紹介されています。
無断転載は出来ませんので、よろしければそちらにて鑑賞してみてください。

丹生都比売神社公式HP
(外部リンクへ移動します)

本殿は四殿に主祭神が祀られています。
【第一殿】丹生都比売大神(にうつひめのおおかみ)
【第二殿】高野御子大神(たかのみこのおおかみ)
【第三殿】大食都比売大神(おおげつひめのおおかみ)
【第四殿】市杵島比売大神(いちきしまひめのおおかみ)

主神の丹生都比売大神は天照大神の妹神。
現在のかつらぎ町三谷の地に降臨して紀州と大和の地を巡り、
農耕を伝えたのち、ここ天野の地に鎮座。
そして密教の根本道場を求めていた弘法大師(空海)の前に現れたのが、
第二神である御子神の高野御子大神。
高野御子大神は通称狩場明神ともいわれ、
白と黒の犬を連れた狩人に化身して大師の前に現れ、
神社へ案内し更に高野山へ導いたとのこと。
空海は神様の導きによってその神域を借り受け、
そこに真言密教の総本山である高野山を開いた。
古くから日本人の心にある祖先を大切にし、
自然に感謝する神道の精神が仏教に取り入れられ、
当社と高野山により神仏が共存する日本の宗教観が形成されていったのでした。

ユネスコが高野山などを世界遺産と認定した理由としても
こうした神仏融合の文化が千数百年の間、脈々と受け継がれてきた
そのユニークな(他に類を見ない)点があげられたそうです。

で、前回同社を記事にアップしたのは平成24年(2012年)訪問時の様子。
その当時は楼門越しにしか目にしづらかった本殿でしたが、
現在は楼門を外れた脇のほうから直接本殿を拝観できるよう
神社側が計らいをしてくれています。
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この時期は樹木の葉が茂って少し見えづらいところもありますが、
以前に比べればはるかによくて、ありがたいです。

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(これは昨冬撮影した様子)

で、今回は境内社の佐波神社のこと。
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本殿向かって右のほうに、静かに鎮座している同社は
明治期に(おそらく神社合祀令により)上天野地区の諸社が合祀されたもの。
その社の手前に真新しい石造の獅子・狛犬が一対います。
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令和元年(2019)7月吉日建立。
昨年12月に参詣した際に初めて出逢った子たちでしたが、
個人的には他社も含めて令和生まれの狛犬たちで出逢ったのは
今のところこの子たちだけという、現時点では貴重な存在です。

そして注目したいのは、この時代の建立にもかかわらず、
デザインが岡崎現代型ではないという点。
これまで出会った平成生まれはごく一部を除いてほぼ100%に近い確率で
判で押したように岡崎型ばかりでした。
ところがこの子は先述した重文の木造狛犬の一対をベースとしたものと思われ、
同社の狛犬ファミリーの正統なニューフェイスと位置付けられると思います。
僕が偉そうに言える立場ではありませんが、伝統の踏襲という意味でも
素敵な奉献といえるのではないでしょうか。

また、同社本殿には縁側部分に木造の狛犬が一対います。
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素朴なデザインです。
建立年代など詳細はわからず、神社関係者にも尋ねることが出来なかったのですが、
明治期に諸社合祀のうえ同社境内に奉られた御社とのことですから、
同じく明治生まれということになるでしょうか?
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もしかすると、合祀された諸社のどこかで、それ以前より
存在していた可能性があります。
天野の関係者の方でもどなたでも構いませんが、
なにか情報をお持ちの方がいらっしゃったらぜひお知らせください。

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天野の里は「にほんの里100選」にも選ばれている、のどかな農村です。
かつて町石道で歩いて高野山を目指した参詣者は
途中で同社へ参拝してから入山したとのこと。
車で高野山へ向かう現在も、ほんの少しの寄り道で立ち寄れますので、
ぜひ同社へお参りをして地主神にご挨拶して頂いてから、
高野山詣でに向かわれてはいかがでしょうか。
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【撮影日:令和2年(2020)8月12日】


タグ:神社 狛犬
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境内社の小さな子 [狛犬・寺社(長野市)]

長野県長野市、芹田下神社。
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同社には小ぶりで可愛い狛犬がいるとの情報があり、
以前から訪れたくてなかなか時間が取れなかったのですが、
先日仕事(狛犬関係ではない)で朝から長野市だったため、
少し早めに到着して以前から気になっていた同社を訪問。

時間が早朝7時前ということもありますが、
住宅街の先に鎮座する同社は静かな境内でした。
こじんまりしていますが、とてもきれいに環境が保たれています。

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鳥居の脇にはケヤキの巨木が立っており、
市の保存樹木に指定されている模様。

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境内の由緒書きによると、ご祭神は
南方刀美命(みなかたとみのみこと)
諏訪社ご祭神とされるタケミナカタ(建御名方神)の別称ともされる神名ですね。
かつては諏訪社と称していたようで、社殿には諏訪梶の御神紋もあります。

拝殿は寺のお堂のような外観で、茅葺+鋼板葺きの屋根が印象的。
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本殿は一間社流造。
腰壁が幣殿と合わせて鉄板にて保護されています。
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さて、狛犬は本殿脇の境内社の蠶神社にいました。
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記銘によると、御社は明治25年1月16日に建立。
石工は上水内郡旧吉村の田中重吉正信となっています。
但し狛犬は同じ石工が彫ったものかどうか、定かではありません。

御社の台座の両脇にポツンと蹲踞している、小ぶりな狛犬一対。
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阿形は有角、吽形は・・・これ、宝珠でしょうか?

顔はすこしひしゃげた感じ。
前髪をセンター分けしている感じは江戸っぽい印象。

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シンプルな彫りで、これといった秀でた特徴はないのですが、
岡崎型(現代と古代の両方)がかなりの頻度で出現する
長野市内の神社のなかでは、オリジナルというだけで希少性を感じます。

同社近くには芹田と名の付く神社はほかに上社、下社とあるそうです。
そちらにも機会があればぜひ足を運んでみたいと思います。
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【撮影日:令和2年(2020)8月2日】

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