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ひとつの境内ふたつの神宮 [狛犬・寺社(和歌山県)]

和歌山市秋月の日前宮。
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厳密にはひとつの境内にふたつの神宮、
日前神宮(ひのくまじんぐう)・國懸神宮(くにかかすじんぐう)の二社があり、
総称としての日前宮(にちぜんぐう)が地元で普通に呼ばれている名前となっています。

日前神宮
ご祭神:日前大神(ひのくまのおおかみ)
相殿:思兼命(おもいかねのみこと)
石凝姥命(いしこりどめのみこと)
ご神体:日像鏡(ひがたのかがみ)

國懸神宮
ご祭神:國懸大神(くにかかすのおおかみ)
相殿:玉祖命(たまおやのみこと)
明立天御影命(あけたつあめのみかげのみこと)
鈿女命(うづめのみこと)
ご神体:日矛鏡(ひぼこのかがみ)

同神宮の由緒によれば、、、
天照大神が岩戸に隠れた際、神々のはかりごとの結果、
石凝姥命(いしこりどめのみこと)によって天香山(あめのかぐやま)から採取した銅を用いて
天照大御神の御鏡(みかがみ)を鋳造することになりました。
その際、最初に鋳造されたものは神々の御意に適うものではなく、
新たに鋳造され直した御鏡は美麗この上ないものとして出来上がり、
これをもって天照大神を岩戸の外へと導き出すことができたのでした。

この最初に作られた際の鏡が日像鏡と日矛鏡で、
日前宮の御神体として祀られていると伝えられるもの。
次に作られた美麗なる御鏡こそが、伊勢神宮の御神体として奉祀され、
三種の神器として現在に伝わる八咫鏡です。

天孫降臨の際、八咫鏡を含む三種の神器とともに日像鏡と日矛鏡も副えられ、
神武天皇東征の後、紀伊国造家の祖に当たる天道根命(あめのみちねのみこと)を
紀伊國造(きいのくにのみやつこ)に任命し、二つの神鏡を以て紀伊國名草郡毛見郷の地に
奉祀せられたのが同神宮の起源であるとされているようです。
(参照:日前宮HPほか)

参道からしばらくまっすぐ歩くと突き当たりになり、
それぞれ左右の道に折れると両神宮の本殿へと向かいます。
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参道より向かって左手が日前神宮。
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向かって右手が國懸神宮。
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その参道の両脇に幾つかの摂社。

摂社・天道根神社。
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摂社・中言神社。
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末社・深草神社。
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末社・邦安神社。
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末社・市戎神社。
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末社・松尾神社。
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大和の国から見て、東の伊勢神宮、西の日前宮などとして、
御神体の御鏡の話などから伊勢と同格などと見る向きもあるようですが、
その神域はじめ隆盛というか、神宮としての威光などは比ぶべくもありません。
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境内は一般の神社に比べればたしかに広大ではありますが、
参道の一角には判別しがたい摂社末社の社が放置されたような状態で取り残され、
案内の看板らしきものも杭が引き抜かれて傍らの古木に寄りかかっているような有様。
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日前宮は神社本庁には属さず、単立神社として存在しています。
天道根命の子孫とされる紀氏によって祭祀され隆盛を誇ったようですが、
中世末期~近世近代にかけては豊臣秀吉による社領没収や
紀州徳川家による復興、明治~大正にかけての国費投入による境内再建など、
浮き沈みはかなりあったようです。
紀伊国一ノ宮であり、神武天皇東征に遡る由緒の伝わる古社でありながら
現代に残る姿はいささか侘しさをも感じられてなりません。

あっ、狛犬は居ませんでした。

日前宮HP

(撮影日:2013年12月31日)


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